Argentino

『ロミオとジュリエット』を読んで思いつきました(笑)

いたって平和な今日この頃
僕は空き部屋で一人服を片手に心の中で葛藤していた

「(なんで僕は女性用のドレスを持っているんだろう……)」

頭がフリーズしかけて、ふるふると頭を振った

「(落ち着け……落ち着け、ライ)」

平静を取り戻そうと大きく息を吸い込んだところで、タイミング悪く(良く？)会長が声をかけてきた

「ライー、着替えたー？」

「あ、いえ……」

「早くしなさいよー、皆待ってるんだからーvv」

「あはは……」

楽しそうな会長に対し、僕は苦笑しか出来なかった

「……会長」

「ん、なにー？」

「ホントに着ないとダメですか……コレ」

「ダメvv……じゃ、着替えたら出てきなさいよー」

「……わかりました」

コツコツと靴音が遠ざかっていくのを聴きながら、僕は事の始まりを思い返していた














始まりは会長の一言だった

「ロミジュリ祭りよーっっ！！！！」

その叫びに、生徒会の面々はまたかという顔で会長を見ている
会長の叫びに対する反応に困っていると、ルルーシュが僕の肩を叩いた

「気にするな、いつもの事だ」

「いつも？」

「猫耳祭りとか男女逆転祭りとか……まぁそういった類の騒ぎが好きなんだ、会長は」

「へぇ……なんか面白そうだな」

ぼそりと呟くと、ルルーシュが物凄い形相で肩を掴んできた

「お前、何を聞いたらそんなことが言えるんだっ」

「え、だってお祭りだろ」

「祭りは祭りでもやることが全然違うんだ」

「……？」

「考えてもみろ。女装させられたり猫耳カチューシャ付けられたりするんだぞ？」

「それは……見てる方は楽しそうだな」

「やる方は最悪だ」

「確かに」

「なーにコソコソ喋ってんのよっ、ほらくじ引いて」

そう言って差し出されたのは正方形の箱
ご丁寧に『？』マークが描いてある

「あの、会長……これ何のくじ引きですか？」

僕が聞くと、会長はにこりと笑みを浮かべたまま箱を更にこちらに押し出した
どうやら引かないと教えてくれないようだ
僕は大人しく箱の中から二つ折りにされた紙片を引いた
今から思えばこの時に何が何でも拒否しておくべきだった

「ほら、ルルーシュも」

「はぁ……」

ため息をついて、僕の後にくじを引いたルルーシュ
生徒会の皆も引き終わったのか会長の言葉を待っている

「さてと、みんな引き終わったわね。じゃ、中開けてー」

カサカサと紙片を開く音
僕も自分の紙片を開いた
中には女性と思しき名前と数字

「皆には二人一組になってロミオとジュリエットになってもらいまーす」

「「「は？」」」

「「「「え？」」」」

「数字はペア番号。で、その後にロミオって書いてある人はロミオに。ジュリエットって書いてある人はジュリエットに。分かった？」

ニコニコと笑顔の会長
意味は分かる
意味は分かるけど……

「会長、これやる意味あるんですか？」

「もちろんvv当人のリアクション目当てよ」

「そ、そうですか……」

固まる僕の肩に、またルルーシュが手を置いた
諦めきった顔で

「諦めろ、会長がこうなるともう避けられない」

「……みたいだね」

こっそりため息をつく僕達にお構いなしで、会長はパンと手を叩いた

「はいはい、分かったらペア作ってー」

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